通夜・葬儀の香典返とお礼

■ 香典返しとは
香典返しとは、通夜や葬儀の際に頂いた香典に対してお返しをすることや、香典のお返しの品物(=返礼品)自体をさします。喪主および遺族は頂いた香典の金額に応じて香典返しをするのが慣例です。このページでは香典返しの返礼品の金額の相場や、香典返しに添えるお礼状(忌明けのお礼状)の書き方と文例・例文を紹介し、香典返しが不要な場合等をご紹介します。
………このページの内容………
▼1. 香典返しとは? 香典返しはいつ渡すの?
▼2. 香典返しの金額の相場とめやす
▼3. 香典返しの時期と表書き
▼4. 香典返しが不要な場合
(1)香典返しを辞退した相手には?(2)香典返しが不要な場合とは?
▼5. 香典返しの品物は?
▼6. 香典のお礼状(忌明けのお礼状)の書き方と文例
▼7. 弔電(お悔やみ電報)だけを頂いた相手(会社、個人)へのお礼は?
[関連ページ]
・香典の入れ方、包み方>>>
・香典の入れ方(中袋がない時ほか)>>>

 1.香典返しとは? 香典返しはいつ渡すの?

香典返しとは、通夜や葬儀の際に頂いた香典に対してお礼の気持を込めてお返しをすることや、お返しの品物(=返礼品)のことをさします。
葬儀の時には、会葬礼状をお渡しし、「粗供養」という表書きで簡単な品物をお持ち帰り頂きます。そして、忌明けの頃に「香典返し」という形で、会葬者への返礼品をお送りします。仏教の場合の忌明けは、四十九日の頃をさします。

時期 お渡しするもの
葬儀・通夜の時
  会葬者は、通夜または葬儀に香典を持参します。
遺族からは会葬礼状と粗供養をお渡しします。

[通夜]
・会葬礼状とお清め塩を一緒に渡します。
・香典を頂いた相手には粗供養という表書き簡単な品物をお渡しします。
・もし通夜ぶるまいという食事の席を設けない場合には、折り詰めと酒なども粗供養としてお渡しします。

[葬儀]
・会葬礼状とお清め塩を一緒に渡します。
・香典を頂いた相手には粗供養という形で簡単な品物をお渡しします。
忌明けの時 (仏教では四十九日 の頃が忌明け)
  香典返しはいつ渡す?
・香典返しは香典を頂いた方に対し、dお礼の気持を込めたお返しとして渡す物(送る物)です。ほとんどの場合、「香典返し」は忌明けの頃に「お礼状(=忌明けのお礼状)」と一緒にお送りします。
・仏教では忌明けは四十九日の頃をさします。但し、四十九日の法要の時にお渡しする引出物は、香典返しとは別のもの で、香典返しはあくまでも通夜・葬儀の際に頂いた香典のお返しとして会葬者にお送りするものです。

※筆者の地元では通夜や葬儀で渡す粗供養の品は金額的にも500円〜2,000円程度の安価なものが多いのですが、葬儀の際に、粗供養として香典返しと同等の金額のものをお渡ししてしまう地方があります。その場合には、忌明けの頃には香典返しを省略して「忌明けのお礼状」のみとします。また、粗供養をお渡し済みの場合でも香典返しの金額に足りていなかった場合(香典返しとして失礼にあたる場合)には改めて香典返しの品を送ります。

 2.香典返しの金額の相場とめやす

香典返しは、頂いた金額の半返しが基本とされています。金額的には香典として頂いた金額の(三分の一〜)半額を目安に考えると良いでしょう。「お礼」を形にしたものとは言え、めやすの金額がだいだい決まっているので失礼が無いように注意しましょう。

香典返しの金額
会社関係や友人、知人への香典返し
  ・香典返しの金額の目安は一般的には「半返し」と考えられています。香典として頂いた金額の(三分の一〜)二分の一を目安に考えます。

・ふつうは金額別に3〜4段階の品物を用意してお返しの品をそれぞれの相手に送りますが、全員に同じものを手配するケースも増えてきているようです。また筆者の周辺ではカタログから欲しい品を選ぶという香典返しも多くなってきています。

・会社の社葬などの場合でも、香典返しの費用は遺族が負担することになります(理由は、香典は会社が受け取らずに遺族に渡されるからです)。

※香典返しをしないケースもあります。このページの別 項目4-(1)香典返しを辞退した相手には,(2)香典返しが不要な場合とはで説明しています>>>
親族への香典返しの金額
  ・親族から頂く香典は高額のことが多いと思います。親族への香典返しは、半返しとは考えずに1/3〜1/4で良いと考えるのが一般的です(理由は親族からの香典は故人への供養の気持ちがその分だけ多く込められていると受け取るのが慣例だからです)。

・親族から香典返しを辞退された場合は、ありがたく気持ちを頂戴します。いただいた香典が高額ということでどうしても気になる場合には、金額にこだわらずに「気持ち」としてお返しをします。いずれの場合にも必ず自筆のお礼状を送るようにします。

 3.香典返しの時期と表書き

香典返しののしの表書きは故人の宗教によって異なります。宗教を問わずに使えるのが「志」です。下段には喪主の姓を書きます。

宗教別の香典返しの熨斗の書き方と時期
宗教 香典返しの時期 のしの書き方
仏教
香典返しは忌明けの頃に送ります。仏教では四十九日が忌明けとされます。

仏教の場合の香典返しののしの表書きは「志」「満中陰志」「忌明志」などです。

表書きに書く満中院とは、四十九日のことです。仏教の場合、四十九日が忌明けとされます。「満中陰志」と書いて「まんちゅういんし」と読みます。関西で用いられることが多く水引きも黄白のものになります。

下段は喪主の姓です。
キリスト教
香典返しは忌明けの頃に送ります。キリスト教では、カトリックは30日目の追悼ミサに合わせて、プロテスタントでは1ヶ月目の昇天記念日の頃に行なわれます。

キリスト教の場合の香典返しの表書きは「志」「感謝」などです。

下段は喪主の姓です。
神道・神式
香典返しは忌明けの頃に送ります。神式では五十日祭の頃(または三十日祭の頃)日が忌明けとされます。

神道、神式の場合の香典返しののしの表書きは「志」「偲び草」「偲草」などです。

下段は喪主の姓です。

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 4.香典返しが不要な場合
(1)香典返しを辞退した相手には?
(2)香典返しが不要な場合とは?

香典返しが不用な場合についてご説明します。

香典返しが不要な場合
事例 説明
(1).香典返しを辞退した相手には
  子供が小さい場合や、おつき合いの程度によっては、香典返しを辞退されることがあります。 残された遺族の生活を思いやって辞退されたのですから、ありがたくお気持ちを尊重します。但し、お礼状には丁寧にお礼を述べるようにします。
(2).香典返しが不要な場合とは
  以下のような場合には、香典返しをしなくても失礼にはあたりません。

1)弔電のみを頂いた場合や、お悔やみの手紙のみを頂いた場合には、香典返しは不要です。忌明けの頃までにお礼状を送ります。

2)香典返しをする代わりに寄付をすることがあります。または、全額を寄付にあてずに、香典返しの一部を葬儀当日にお渡しした簡単な返礼品で済ませ、残りを寄付にあてることがあります。
故人の意志や遺族の意志などにより、香典返しの代わりに寄付をした場合、○○の目的で□□□団体に寄付をしましたということを、きちんと会葬礼状に記載します。
例えば横浜市では「よこはま夢ファンド」への寄付を呼び掛けるリーフレットを作成しています。余談ですが、こうした寄付では寄付金控除という形で税金の優遇措置も受けられます。

3)故人が一家の大黒柱であった場合、子供がまだ小さいのであれば、残された遺族の生活や将来の事を考えて香典返しをしない場合もあります。このケースでも、会葬礼状に子供たちの教育費に役立てる旨を会葬礼状に記載します。

 5.香典返しの品物は?

香典のお返しとして一般的なものをご紹介します。

香典返しの例
香典返しの品物の例
  ・いわゆる「消えもの」=食べたり使ったりすることで消えてなくなるものが良く用いられます。
・石鹸、洗剤、お茶、海苔、タオル、ハンカチ、入浴剤、菓子…といった食品や生活用品、実用品が定番です。
その他の香典返しの例
  ・最近多くなってきているのがカタログギフトです。相手先がカタログから欲しいものを選び、注文すると、百貨店や業者が届けてくれるサービスです。最近ではグルメカタログといったものもあります。

・香典返しとして商品券をお渡しすることも失礼にはあたらないのですが、商品券は金額があまりにもハッキリと相手にわかってしまうため、頂いた香典の金額と比較されてしまいます。地方にもよるのかもしれませんが、お返しとして無難とは言えないという考え方も根強くあります。

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 6.香典返しに添えるお礼状の例文・文例

香典返しに添えるお礼状は、ちょうど忌明けの頃に送るため「忌明けの挨拶状」「忌明けのお礼状」とも言われます。このお礼状の書き方と文例をご紹介します。

香典返しのお礼状について
項目 内容
1.香典返しに添えるお礼状の書き方
  (1)印刷した書面 を、会葬者に送ることもあります。文中に句読点「、」や「。」は用いません。

(2)冒頭に季節を表わす挨拶文を入れる必要はありません。拝啓などの頭語と、敬具などの結語は両方入れるか両方とも無しにします。

(3)故人の名前を必ず入れます。

(4)お礼を述べます。(4-1)(4-2)を必ず盛り込みます
(4-1)忙しい中を時間を割いて葬儀・告別 式に参列して頂いたことへのお礼
(4-2)香典を頂いたことへのお礼

(5)お礼状はあくまでも略儀です。本来なら直接お目にかかってお礼を申し上げるべきところですが、書状によるご挨拶となってしまった旨を伝えます。

(6)差出人の名前を必ず入れます。
下記の2.3で紹介する文例では差出人が個人になっていますが、会社として送る場合には葬儀委員長の名前を先に書きます。

会社が出すお礼状/社葬の場合の差出人欄の書き方(本来は縦書きです)
郵便番号 住所
株式会社 最良作法
葬儀委員長 代表取締役 最良太郎
喪主 穴田総一郎
親族一同
2.香典返しと一緒に送るお礼状の文例
  普通は縦書きです。ページを作成する都合上、横書きにしています。

拝啓
先日の亡祖父 穴田一朗儀 葬儀に際しましては
ご多忙中にもかかわらずご会葬を賜り且つご鄭重なるご厚志を賜り大変有難く存じております 葬儀の祭は取込み中にて万事に行き届かず申し訳ございませんでした
お陰様で4月29日に四十九日の法要を滞りなく相済ませることができました
つきましては亡祖父の供養のしるしとして心ばかりの品をお送りいたします 何卒ご受納賜りたくお願い申し上げます
茲に故人が生前に賜りましたご厚情に感謝申し上げますと共に 今後も変わらぬご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上お礼を申し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具 
 令和○○年○○月○○日
郵便番号 住所
喪主 穴田総一郎
親族一同
※鄭重(ていちょう=丁重)
※厚志(こうし)…深い思いやりのこもった親切。ここでは香典のことをさします
※茲に(ここに)
※拝眉(はいび)…お目にかかること。お会いすること。

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香典返しのお礼状について つづき
項目 内容
3.香典返しを寄付した場合のお礼状の文例
  葬儀当日に簡単な返礼の品をお渡しした上で、忌明けに送る香典返しに相当する金額の一部を寄付することで、香典返しを省略することもあります。
普通は縦書きです。ページを作成する都合上、横書きにしています。

拝啓
先日の亡父 穴田太一儀 葬儀に際しましては
ご多忙中にもかかわらずご会葬を賜り且つご鄭重なるご厚志を賜り大変有難く存じております
お陰をもちまして3月21日に四十九日の法要を滞りなく相済ませました
故人が生前に賜りましたご厚情に感謝申し上げますと共に 今後も変わらぬご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上お礼を申し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます
なおまことに恐れ入りますが忌明けに際しまして 故人の意志により「徳川市ふれあいファンド」あてに福祉の分野に役立てていただくという条件をつけて御厚志の一部を寄贈し供養に代えさせて頂きましたので何卒ご諒承の程お願い申し上げます
敬具 
 令和○○年○○月○○日
 郵便番号 住所
喪主 穴田総一郎
親族一同
※鄭重(ていちょう=丁重)
※厚志(こうし)…深い思いやりのこもった親切。ここでは香典のことをさします
※諒承(りょうしょう=了承)

 7.弔電(お悔やみ電報)だけを頂いた相手(会社、個人)へのお礼は?

弔電だけを頂いた相手にはお礼状を出します。お礼状を出すタイミングは早い方が良いでしょう。葬儀が終わり一段落したらなるべく手書きのお礼状を出します。
お花(供花)だけを頂いた相手にも、同様にお礼状を出します。

弔電やお花を頂いた場合のお礼状
項目 内容
1.弔電や供花へのお礼状の書き方
  (1)できるだけ早い時期にお礼状を出します。

(2)冒頭に季節を表わす挨拶文を入れる必要はありません。拝啓などの頭語と、敬具などの結語は両方入れるか両方とも無しにします。

(3)故人の名前を必ず入れます。

(4)お礼を述べます。
  忙しい中を時間を割いて弔電、供花を頂いたことへのお礼

(5)お礼状はあくまでも略儀です。本来なら直接お目にかかってお礼を申し上げるべきところですが、書状によるご挨拶となってしまった旨を伝えます。

(6)差出人の名前を必ず入れます。
下記の2で紹介する文例では差出人が個人になっていますが、会社として送る場合には葬儀委員長の名前を先に書きます。
会社が出すお礼状/社葬の場合の差出人欄の書き方(本来は縦書きです)
郵便番号 住所
株式会社 最良作法
葬儀委員長 代表取締役 最良太郎
喪主 穴田総一郎
親族一同

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2.弔電のお礼状の文例
  普通は縦書きです。ページを作成する都合上、横書きにしています。
拝啓
このたびは 亡祖父 穴田一朗儀 葬儀に際しまして
ご多忙中にもかかわらずご丁重な弔電を賜りまして有難うございました
お陰様で葬儀・告別式を滞りなく済ませることができました
故人が生前に賜りましたご厚情に感謝申し上げますと共に 今後も変わらぬご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上お礼を申し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
 令和○○年○○月○○日
矢間田 大輔様
 郵便番号 住所
喪主 穴田総一郎
親族一同
※拝眉(はいび)…お目にかかること。お会いすること。
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