和食のマナー

和食・日本食・日本料理のマナーと食べ方のページ。和食の食べ方の基本マナーと作法をはじめ、持っても良い器・持ってはいけない器、お箸の持ち方・置き方、お椀の持ち方・蓋の置き方、会席料理と懐石料理の違いを解説します。

1.和食・日本料理・日本食マナーのポイント、食べ方

お箸を使って食べる和食・日本食・日本料理では、お箸やご飯茶碗(お茶碗)、お椀などの器・食器の持ち方や置き方・食べ方のポイントを紹介します

和食・日本食・日本料理の食べ方ポイント
1. お箸を正しく使う
お箸の正しい使い方・美しい使い方をマスターすることが和食のマナーの基本となります。

西洋料理ではナイフ・フォークなどのカトラリーを使いますが、和食ではお箸を使います。
2. 手で持ち上げても良い器がある
和食・日本食・日本料理では手のひらより小さいサイズの器は左手で持ち上げて食べて食べても良いとされています。お茶碗だけでなく、小鉢や小皿も手で持って食べて構いません。

西洋料理では、飲み物のカップやグラス以外に手で持ち上げる器はあまりありません。
3. 持ち方、置き方、置く場所に決まりがある

和食・日本食・日本料理ではお箸や器の持ち方、蓋の持ち上げ方、置き方に決まりがあります。特に注意が必要なものは以下の通りです。

①. 箸(お箸と割り箸)
 お箸の持ち方、置き方、置く場所、(食べている途中・食べ終わり・食べ終えたら)お箸とお茶碗を持つ時の持ち方、
 割り箸の割り方、箸置き、割り箸袋のマナーに決まりがあります。
(詳細はこのページの ■2.お箸の持ち方・置き方 で解説

②. 器の蓋(蓋物、汁椀、吸い物椀)
 蓋の開け方、置き方、置く場所(食べる前・食べている途中・食べ終わり・食べ終えたら)のマナーには決まりがあります。
(詳細はこのページの ■3.蓋の持ち方・置き方 で解説

③. 器や茶碗
 持ち上げても良い器のめやすは手のひらサイズよりも小さいものとされます。たとえばお茶碗、お椀・汁椀・吸い物椀、小皿、小鉢などは持ち上げても構わない器です。
手のひらよりも大きいものは持ってはいけない器とされます。

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2.お箸の持ち方・置き方

お箸を使って食べる時の所作や作法について説明します。
詳細はお箸のマナーのページでも掲載しています>>

お箸の使い方(基本)
お箸を持つ時
以下の準でお箸を持ちます。
①箸を右手で上からつかんで持ち上げます

②左手を箸の下から添えます
 

③右手を持ち替えて箸を持ちます
 
割り箸の割り方マナー

割り箸のNGな割り方

[NGな割り方]
割り箸の割れた方を上に向けて左右に開いて割るのはマナー違反です。

割り箸の割り方

[正しい割り方]
割り箸の割れた方を左に向け、右手を上に、左手を下に添えて上下に割ります。
割り箸を割る作業はひじをまげて、膝の上や手元で行います。  
お茶碗とお箸を持つ時、および お椀とお箸を持つ時
お箸と茶碗を持つ時の持ち方
以下の準でお茶碗とお箸を持ちます。
①[茶碗を持ち上げる]
両手で茶碗を持ちます。

②[左手だけで茶碗を持つ]
左手の小指と薬指を茶碗の底にそえて茶碗を左手だけで持ちます。

③[右手で箸を持ち上げる]
右手で箸を上からつかんで持ち上げます。

④[右手で箸を持ち上げる]
右手で箸を上からつかんで持ち上げます。
 
食事の途中で箸を置く時

渡し箸

[渡し箸は厳禁。箸置きに置く
食事の途中で箸を置く時、茶碗や小皿の上にイラストのように縁から縁へ箸を渡すように置くことを「渡し箸」と言い、NGです。
必ず箸置きに置きます。
[箸置きがないとき]
箸置きがないお店の場合には、割り箸の箸袋を結んで箸置きを作り、箸置きの代わりにします。
箸袋がない時には懐紙を用いても良いでしょう。

[箸置きを作っている間(箸袋を結ぶ作業中には)、割り箸はどこに置く?]
一番手前の小さな受け皿の縁に先端だけをかけて置きます。くれぐれも渡し箸にならないように。
茶道の懐石膳では箸先の部分だけをお膳の左側の縁に乗せるという作法があり、お膳がある場合にはこのやり方も良いでしょう。

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食べ終えたら

割り箸

[箸置きに置きます]
食事を終えたら箸を器に乗せたりせず箸置きに置きます。

[箸置きがない場合]
箸袋に入っていた箸の場合には、箸袋に入れて置いても良いでしょう。
箸袋はそのまま使わず、先端を折って箸を入れます。
もし、箸置きがなくて、箸袋で箸置きを作った場合には箸の先端を結び目に入れます。使用して汚れたところを隠す形になります。
箸マナーNG集(主なNG例一覧)
名称 NGマナー
迷い箸 どれを食べようかと、お箸を持った手でお皿の上で迷うしぐさはNG
渡し箸

上述
皿や食器の上に箸を渡して置く(器の両側に渡るように置く)のはNG。
お箸は箸置きに置きます。

涙箸 箸で持ち上げた食べ物から汁をポタポタ落とすのはNG。左手で器を手に持ってガードします。
ねぶり箸 箸先をなめたりしゃぶるのはNG。
指し箸 箸の先で人やものを指すのはNG
箸渡し 箸で持ったものを箸から箸に渡すのはNG

3.お椀の蓋 開け方、置き方

お椀を使って食べる時の所作や作法について説明します。

持ち方、置き方、置く場所に決まりがある

和食・日本食・日本料理ではお箸や器の持ち方、蓋の持ち上げ方、置き方に決まりがあります。

蓋の開け方

【汁物椀】
左手でお椀本体を押さえ、右手で蓋をあけます。
吸い物や汁物のような椀物の蓋は、蓋の内側についた雫がこぼれないように「の」の字に回しながら開けます。蓋は汁物椀・吸い物椀の右に置きます。

お椀の開け方

【蓋が開けにくい時には】
蓋が開けにくい時がありますよね。そんな時は(汁がこぼれないように右手で蓋を押さえながら)左手で椀本体を(上から見ると円形の椀を楕円形にするようなつもりで)縁をギュッと押してやると蓋の内側に空気が入って蓋が開けやすくなります

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蓋の置き方・取った蓋を置く場所

お椀のふた

【蓋の置き方】
お椀の蓋、茶碗の蓋いずれもあけたらしずくが落ちないように注意し、蒸気で濡れた面が上を向くように置きます。

食べ終えたら蓋を元どおりにかぶせます。


【右に置かれた器(汁物椀・吸物椀ほか)の蓋は右に】
【左に置かれた器(茶碗ほか)の蓋は左に】

右側に置かれた器(吸物椀や汁椀、茶碗蒸しほか蓋のある器)の蓋をあけたら右側に置きます。左側に置かれた器(ご飯茶碗ほか蓋のある器)の蓋ををあけたら左側に置きます。

お膳などがある場合には右の器の蓋はお膳の右外側に、左の器の蓋はお膳の左外側に置きます。いずれも濡れた面が上を向くように置きます。
 
手のひらよりも小さい器は持って良い

フレンチなどの洋食では、グラスやコーヒーカップ・ティーカップなどの飲み物以外の器を持って食べることはありませんが、和食では手のひらよりも小さい器は手に持って良いとされます。

蓋を取る時には必ずお箸を箸置きに置きます。

4.懐石料理と会席料理の違い

混同される事が多い懐石料理と会席料理との違いについて説明します。

会席料理とは
会席料理とは一言で言うと和食のフルコースです。料理が一品ずつ運ばれて来ます。
会席料理の献立例
1. 先付(さきづけ)・前菜

2. 吸い物・椀物(わんもの)
3. お造り・刺し身
4. 煮物・炊合せ・強肴(しいざかな)
5. 焼き物・鉢肴(はちざかな)

一汁三菜
必ず出される
6. 揚げ物
7. 蒸し物
8. 酢の物・和え物
お店や献立によって異なる
9. お食事=ご飯、止め碗・味噌汁、漬物・香の物
10. 水菓子・果物

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懐石料理とは
懐石料理とはお茶会・茶事・茶の湯の席での食事のことです。
会席料理の献立例

1. 飯碗、 汁椀、 向付(お造り)

一汁三菜
必ず出される

2. 煮物…一人一椀配られる

3. 焼き物…大鉢などに盛られて出されるので向付の皿に取る
4. 預け鉢・進め鉢・強肴(しいざかな)…大鉢などで出されるので自分の分だけ取る 亭主や流派によって異なる

5. 吸い物・箸洗い・すすぎ汁

6. 八寸…海のものと山のもの
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